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 ◆プロ・ライター、また多方面で活躍されている野田誠司氏のコーナー◆
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           プロデューサーとは・・

先月、ある経済関連の番組で、「日本には企業とアーティスト(クリエイター

を結び、企画を立て事業として成立へ導くプロデューサーという立場(職業)
がない。」といった内容の話題を取り上げていた。しかし、ようやくそういっ
た立場で活躍する人達が現れたという。アニメ制作の業界とそれに出資するス
ポンサーとの橋渡しをするプロデューサー業を営む人材が登場しはじめたとい
うのだ。読者の皆さんは、プロデューサーというと「音楽制作者」を思い浮か
べることが圧倒的に多いと思う。しかし、その大半はレコード会社やアーティ
ストに雇われた契約制作者であって、自らが企画制作のすべてを進行するとい
うものではない。むしろ音楽よりも、絵画や演劇、映画の世界に前掲の意味で
のプロデューサーの活動が目立つ。

このコラムで音楽業界がかなりヤバイ状態であることは、何度も書いてきた。
不景気も原因のひとつではあるものの、音楽に魅力がなくなってきてしまって
いることも事実ではないだろうか?企画力のないまま、スポンサーやタイアッ
プに頼り過ぎ、商業ベースの「お仕事」になってしまったのが原因ではないだ
ろうか?

講座の若い生徒さんに「コンポの前でじっと集中して音楽を聴くことってある
?」と質問してみたところ、ほとんどが「ない」という返事だった。音楽の聴
き方が変わってきてしまった、と最初はリスナーに問題があると僕も思ってい
た。しかし、よく考えると面白いアニメやドラマは、ストーリーを見逃すまい
と集中して観るではないか。これは今も昔も変わらない。なのに音楽だけは
「なになにしながら聴く」というスタイルになってしまった。集中して聴くだ
けの魅力が新しい音楽には欠如しているのが原因なのだろうか?

CMで起用されるとか、ドラマやアニメのタイアップを得るとか、そういった
二番手的な音楽制作が、音楽の立場を低くしてしまったのかもしれない。だと
すれば、音楽を世に送り出す側に責任がある。もちろん、そうした音楽がすべ
て悪いというわけではない。そうではなく「じっくりと聴くための音楽」が一
般に紹介されなくなってしまっていることが問題なのだ。そのような音楽であ
っても商売として成り立つはずなのに、それを端に追いやってしまったところ
に問題がある。良い音楽と企業を結びつけ、良い音楽のまま世に送り出すプロ
デューサーという役割が早急に必要なのである。

うちの事務所は、ある会社内にスペースを頂いて活動しているが、その会社は
企業とアーティストを結びつけるというところまで成功している。簡単に言う
と、大手ショッピングセンター内にイベントスペースを設置し、そこで週末を
中心にイベント(コンサート)を行い、お店にとっては集客に繋がり、アーテ
ィストにとってはお店の来客に演奏やパフォーマンスを観て頂くという部分で
大きな成功を収めている。うちのタレントさんも司会の仕事をさせて頂いてお
り、なにかと関わりを持たせて頂いている。しかし、アーティストさん達にと
っては演じる場ができたのみでまだその先に至っていない。その先というのは
お店の外にまで彼らアーティストの存在が知れ渡っていないという意味だ。

アーティストをプロデュースをするということは、企業には出資に見合った利
益が、アーティスト側には本来の持ち味(演奏や演技)のまま大勢の支持を得
るまで(収入に繋がるまで)サポートすることではないかと思う。そこには、
双方にメリットがあることが基本であろうし、プロデューサーもそれを成功さ
せて収益としなければならない。そのためには、様々なアイデア、すぐれた企
画力、長期的段階的なプランが必要だ。日本にもそうした、企業とアーティス
ト(クリエイター)を結ぶ「プロデューサー業」という仕事がようやく認識さ
れつつある。しかし、育てる機関は、ある大学で始めたばかりでまだ極端に
少ないのが現状だ。