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 ◆プロ・ライター、また多方面で活躍されている野田誠司氏のコーナー◆
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      感動する音楽、人生を変える音楽II

前回の感動する音楽、人生を変える音楽Iの方には、僕自身の「感動」を書いて
いなかったので補足的に書き足してみることにしました。
音楽にどっぷりハマッタのは中学生の頃だったと思います。兄から強引に聴か
された洋楽の数々は、どちらかと言うと小学生の頃でたぶん影響としては、自
分の意志で聴き始めた1969年以降よりもその頃耳にした音楽の方が大きい
かっただろうなと思います。その影響を受けた洋楽とは、ひとつはビートルズ
ひとつはウォーカー・ブラザーズでした。ビートルズはアルバムごとの変化に
驚き、ウォーカー・ブラーズはメイン・ヴォーカルのスコット・ウォーカーの
歌唱に聴き惚れたものです。このスコット・ウォーカーは、デヴィッド・ボウ
イ始め数々の男性ロック・ヴォーカリストに影響を与えていることは日本では
あまり語られなかったため、ソロ・アルバムの国内盤CD化が大変遅れ、それ
も全作品でないことは淋しい限りですが、ジャック・ブレルの作品を多く歌っ
ていた初期の作品など、今聴いても色褪せることはありません。

たぶん、ビートルズ始め60年代の洋楽、それに同時代のGS(グループサウ
ンズ)が大変メロディアスだったことが、70年代に自分の意志で購入し聴い
たアルバムのひとつひとつの感動に繋がっているのだろうと思います。もちろ
ん、メロディ主導型ではない、インプロビゼーション(即興)のスリリングな
演奏(たとえば、マハビシュヌ・オーケストラやリターン・トゥー・フォー・
エバーなど)にも感銘を受けました。月のおこずかいはもちろん、高校時代、
親から貰った昼食代の半分以上をすべてレコードを買うために節約するという
ような音楽へのハマり方はけして特別なことではなく、音楽ファンの友達は皆
そうしてなるべく多くのアルバムを購入し、それでも足りないときは「僕はこ
れを買うから、おまえこれ買えよ」と分けてレコード購入し、貸し借りをして
聴きました。気が付けば、なにかしらで音楽の仕事に従事したいと望み始め、
ミュージシャン?それがダメなら音楽評論家に・・・という感じでした。好ん
で聴いていたアルバムの多くに当時音楽評論家だった立川直樹氏(現在はマル
チ・プロデューサー)のライナー・ノーツがあり、立川氏の文章が大好きで、
たぶん立川氏のライナー・ノーツや書籍に触れることがなかったら音楽評論家
にならなかったかもしれないくらいに影響を受けました。

思春期の僕が一番レコード針を降ろした回数の多いアルバムは、たぶん、邦楽
では加橋かつみ『パリ 1969 』、洋楽ではビージーズ『オデッサ』かジェネシ
ス『月影の騎士』、ニール・ヤング『ハーベスト』辺りだったと思います。そ
してショックを受けたアルバムはYESの『危機』、マハビシュヌ・オーケス
トラの『火の鳥』、アル・スチュアート『ラブ・クロニクルズ』(私小説的な
ラブストーリーであるタイトル曲がアルバム片面を占めており圧巻。バックの
ギターはジミー・ペイジだった)、キング・クリムゾン『リザード』(国内盤
はこの盤から遡ってリリースされたので『クリムゾン・キングの宮殿』を聴い
ても驚かなかった)。感動したアルバムは多々ありますが、その多くはコンポ
の前でじっくり聴かずにはいられないすぐれたものばかりでした。10代とい
う多感な時代に「感動する音楽」に集中的に出会えたことはとても幸福だった
と思います。

では、今の時代、そうした感動する音楽は少ないのかというと、けしてそうで
はなく、ただ70年代の頃のように、「感動する音楽=売れる」という図式で
はなくなってしまったため、現在の音楽の中で出会うには、自分で探す努力を
必要とします。しかし「良い音楽」はいつの時代も存在するわけですから、音
楽の底知れない深みにハマッテみたいという気持ちさえあれば、すぐに出会え
ることでしょう。あなたにとって「音楽」とは何でしょうか?

参考ホームページ:
立川直樹
http://www.tachikawanaoki.com/
加橋かつみ『パリ 1969』
http://www.etcrec.co.jp/tigers/toppo01.htm
アル・スチュアート
http://www.alstewart.com/
BEE GEES
http://www.beegees-world.com/
ジェネシス
http://www.genesis-music.com/
ビートルズ
http://www.toshiba-emi.co.jp/beatles/index2_j.htm

あなたは音楽を聴いて感動のあまり泣いてしまったことってありますか?

僕は「感動する音楽」がリリースされる時代をもう一度復活させたいのです!