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 ◆プロ・ライター、また多方面で活躍されている野田誠司氏のコーナー◆
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 僕のミュージックビジネス講座では、音楽学校を出ただけではダ、現場見習
いをしてコネクションを作らないと先へ進めないと教えている。実際に、プロ
の音響関係の人と話しても、音楽学校を出ただけでは即戦力にならない、とい
う返事が多かった。現場は良くも悪くも職人的気質が残っており、現場でたた
き上げてきた人達が自分で独立し、PAや照明、舞台プロデュースの会社を起
業しているケースが多いのだ。お友達のカルメン・マキさんと話したときにも
「カルメン・マキ&OZがデビューするのに数年かかった。それは、私達自身
がレコード会社のオファーを”まだまだ、その段階ではないと断り続けてきた
から”」と言っていた。この二つの話は、全く違うようで共通点がある。それ
は、安易にプロの領域に入り込まない、スキルアップしてプロとして認められ
る、といった意識だ。プロの世界は、甘くない。数年前にゴダイゴが復活し、
久しぶりにベースのスティーヴ・フォックスやギターの浅野孝己さんと連絡を
取るようになった。特にスティーヴは、宣教師になって以降、久しぶりのTV
出演復帰もあって、こんなことを言っていた。「久しぶりにTV局に行ったら
さぁ、ピンク・レディーのミーちゃんしか知り合いがいないんだよ。誰が偉い
人なのかさっぱりわからない。だから、すれ違う人には誰にでも頭を下げて先
に挨拶したよ。あはは・・」。音楽業界とはいえTVに出れば芸能の世界だ。
そこには、先輩後輩だったり、年功序列だったり、事務所の力関係があったり
役職の力関係があったりと良くも悪くも「礼儀」が重んじられる世界だ。ゴダ
イゴが復活したときには、大きいホールのコンサートは各地共ソールドアウト
になった。そうした活動の直後で、まだゴダイゴ熱が冷めないときに浅野孝己
さんはソロのバンド活動も行っていた。何度か招待されて伺ったが、浅野さん
のワンマン・バンドの演奏場所は、赤坂見附にあるグラフィティという150
人も入れば満員になりそうなライヴ・レストランだった。ゴダイゴというネー
ムバリューとは比例しない集客だ。僕は彼はギタリストとして、日本では有数
の人(特にジェフ・ベックを弾かせると右に出る人はいない!)と信じている
が、集客を考えると淋しい限りであった。当時、このバンドでの企画CDがリ
リースされたがインディーズ盤でのリリースに止まった。ゴダイゴというネー
ムバリューをもってしても、メジャー・レーベルは動いてくれないのである。

 東京には、音楽業界に関わるメジャーな企業が集中し過ぎている。それらを
取り巻く媒体も東京に集中してしまっている。景気の低迷が長期化したという
理由もあるが、東京ですべてが完結してしまうという利便さは、逆に形骸化、
マンネリ化というシーンを作ってしまっているようにも思える。僕は、現在、
プロデューサーシステムズという企画会社へ事務所を移転中だ。そこの社長さ
んとのお付き合いで、お世話になることになったのだが、この会社は現在、大
阪においての大きなプロジェクトを立ち上げようとしている。まだ、正式発表
できないので詳細は書けないが、いわゆる第三セクターとして機能し、文化の
発信地を東京でなく大阪に起すといったプロジェクトだ。これには、有名なプ
ロ・アーティストはもちろんだが、アマチュア・ベースのイベントも多々行わ
れる。今年の中頃には大手新聞などにこの情報が載ることと思う。たぶん、東
京は地方から刺激を受けない限り、活性化しないように思えるということを僕
等は感じている。地方から刺激を受けた段階で、僕等は東京での軌道修正され
たミュージック・ビジネスのルネッサンスを期待している。そこには、面白い
仕事が溢れることだろう。新しいミュージック・ビジネスのスタイルも生まれ
るだろう。