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 ◆プロ・ライター、また多方面で活躍されている野田誠司氏のコーナー◆
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doll〜歌姫シリーズ 新譜 2005年1月28日発売
価格:3000円(税込)CD1枚組・全10曲
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『doll 〜歌姫 vol.5 - 響 -』   『doll 〜歌姫 vol.6 - 舞-』
島みやえい子             鳥居花音
真理絵                草柳順子
中原涼                とろ美
SATOMI                木葉楓
角野聡子               井上みゆ

DOLLレーベル
http://www.doll.co.jp/

昨年、コミケ(コミックマーケット:東京ビックサイト)に夏、冬共行った。
同人誌に始まり、アニメーション、ゲーム・ソフトも同人レベルでリリースで
きるようになり、出展内容も多様化。企業ブースも充実し、なによりその膨大
な増える一方の参加者数は、もう「オタク」という数字ではなく、ひとつの文
化として認識すべき世界になっている。都営バスもコミケを記念してパスを発
行していた。メディアが秋葉原の現象を取材するのは遅すぎるくらいで、あき
らかにメジャーが追いついていけない市場であり、その内容はピンキリであっ
てもユーザー主導型であることを考えると、健全なシーンを長い年数をかけて
築いてきたと言える。

上記のアルバムは、この業界を中心にリリースしているDOLLレーベルというメ
ーカーさんからサンプル盤を頂いた新譜だ。先にピンキリと書いたが、メーカ
ーさんには申し訳ないが、まさにピンからキリまで多用な楽曲が、やはりこの
世界で活躍する歌姫達によって歌われている。意外に面白いのは、ちょっと旧
い感じのニュー・ミュージック風アイドルっぽい楽曲が多いことだ。ちょうど
この世界で、これを仕事としている世代の多くが30代〜40代始めであるこ
とを考えると80年代がキーワードになることと一致する。彼等は、商業を通
してでなく、自らの嗜好を次の世代へコミケを軸に賢く継承することに成功し
た。これは商業主義的な企業の盲点をついたスタイルだ。

数十万人というシェアは多いようで、全国規模で考えれば誰でも知っていると
いうメジャー規模ではない。しかし、「同人」が「DOUJIN」として、欧米から
アジアまで共通語になって進化し続けていることをこのままメジャーのメディ
アが勘違いし無視し続けるなら、いつかきっとユーザー本位の世界へと逆転す
るだろう。そのスタイルが音楽にも、演劇にも、映画にも普及していくなら、
今の商業主義的なエンタテイメント・シーンは崩壊し、ユーザー主導型の新し
いエンタテイメントが確立するのではないかと思う。

上記のアルバムの楽曲がすべて優れているとはお世辞にも言えないが、際立っ
て優れた作品を含んでいるという点を見落としてはいけない。プロになるんだ
メジャーに行くんだ、と無駄にデモ音源をあちこちに送り続ける、普通の音楽
シーンに生きるアマチュア・ミュージシャンをよそに、裏方であるプロの歌い
手さん、制作者がすぐれた楽曲を世に送り出しているという現実を知らなけれ
ばいけない。