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 ◆プロ・ライター、また多方面で活躍されている野田誠司氏のコーナー◆
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              CDの墓場

 池袋に用事があって(単に事務所から近いからなのだが)出かけることが多
い。そのときは必ず、レコファンやレンタルスペースでやってる怪しい中古屋
を覗いてみる。中古CDショップというのは、リスナーにはありがたい。が、
自分がご贔屓で新品で必ず買うアーティストのCDが中古で並んでいるのを見
つけてしまうと、複雑な気持ち(というか悲しい気持ち)になってしまう。あ
〜、なんで手放しちゃうんだろうなぁ〜。きっと、お金が必要で泣く泣く手放
したんだろうなぁ〜、などと勝手に都合良く解釈してみたりする。でも、実際
にその中古棚に並ぶ多くは、飽きて処分されたCD、レンタル・ショップから
流れてきたものやサンプル盤、希に何かのルートで入荷したのであろう未開封
の中古新品・・・。そこに並ぶことになった背景と理由は様々にしても、ここ
で売れなければ、さらにジャンクな店、行く末はゴミ処理場行きということに
なる。レコード会社の在庫処分は、未開封のままゴミ処理ということになるわ
けだが、それは売れなかったから仕方ないとして、一度、人の手に渡ったCD
は、特にリスナー個人が購入したCDのゴミ処理場行きは悲しい。

 まっとうな店にはサンプル盤やレンタル・ショップ流出品などは置いていな
いが、期間限定っぽい怪しい店は、むしろそうした盤ばかりが大量においてあ
る。最近、そういった店でひとつ気がついたことがあった。同じアーティスト
の盤がけっこうダブって置いてあるのだ。レンタルの回転率が悪い盤というこ
となのだろうが、有名アイドルものや少なくとも発売当初は話題となった盤、
特に90年代後半から最近のものに目立つのだ。逆に70〜80年代の名盤は
滅多にお目にかかれない。時折、場違いのように埋もれた名盤を発見すること
はある。そういうときは「ここの店員、知らないんだ。これが名盤だってこと
・・この安値・・」などとほくそ笑んで(でも心臓をドキドキさせながら)、
平然とした態度で購入する。(笑)

 別にドラマやCMとのタイアップが悪いとは言わない。流行を狙った音楽や
アイドルのそれが悪いとも言わない。それがどんな思惑で制作され売られよう
と、音楽的にすぐれていればいっこうにかまわない。が、現実に、中古屋に大
量に流れてくるCDを眺めると、けして制作者はこうなることを望んで作った
わけではないだろうに・・・と悲しくなる。僕は、制作サイド(レコード会社
や音楽制作会社)の問題点を取り上げることが多いが、リスナーの質の低下に
も問題があるのだろうと思う。たしかに音楽は、「音を楽しむ」のであって、
それ以上でもそれ以下でもない。「音楽は消費文化のひとつである」と言われ
ればそれまでだ。が、そこには音楽に対する愛情が無い。それで良いのだろう
か?このままで良いのだろうか?
CDの墓場が「心」の墓場とならなければ良いのだが・・。