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 ◆プロ・ライター、また多方面で活躍されている野田誠司氏のコーナー◆
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『アジアの歌姫わらしべデビュー!』土屋亜有子がラグナロクを歌うまで
        貞方祥 著 バックステージ・カンパニー 1260円

 昨年暮れ、土屋亜有子の朗読と歌のライヴを行ったとき、土屋亜有子所属の
事務所を代表する貞方さんが本を出版すると言っていた。なにやかやと時間が
経って、伺っていた時期よりも半年を過ぎてしまったが、先月末、僕のところ
へ送ってくださった。

読者さんには、土屋亜有子という名を知る人はほとんどいないだろうと思う。
「銀河鉄道999 for PLANETARIUM 」のヒロイン役で声優デビュー。松本零士の
新作「ユマの物語」主演。しかし、なんといっても台湾と韓国でのオンライン
・ゲーム・ラグナロク絡みの仕事の大成功が、本のサブタイトルにもなってい
る通り、貞方祥と土屋亜有子のチームを日本でも成功へと導きつつあるのでは
ないかと思う。

本書の前半は、貞方氏自身の学生時代からの業界での活動の興廃を赤裸々に綴
っており、渋谷文化の先駆けとして成功を収めた時代から、イベンターとして
の成功、そして、自社の倒産、自己破産などを正直に語っているのは、実に貞
方さんらしい。後半のわらしべデビューに至るストーリー展開も台湾や韓国の
文化的な違いから起こる失敗や問題を隠さずに書き上げ、それにめげることな
く前進してきた結果の大成功。そして現在に至る、まさに日本での開花も寸前
のいわば発展途上の自叙伝ともいえる。

本書の魅力は、土屋亜有子だけでなく、とても人間的で策略家とは言えない、
人と人との繋がりから仕事を展開していくという貞方さん独特の業界での生き
方が魅力的だ。何度かお会いして、仕事も一緒にし、メールのやりとりなどす
る中、腰の低い彼の人柄の良さには屈服する。

きっと読者の皆さんの中には、エンタテイメント業界で働きたいという方や自
ら起業したいという方も多いことだろう。そんな人には、この自叙伝が正直者
は損をしないということを学ばすと共に、きっと将来の業界改善の一助にも繋
がるであろうことを願ってやまない。

     野田誠司 ホームページ http://rockjazz.com/noda/