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 ◆プロ・ライター、また多方面で活躍されている野田誠司氏のコーナー◆
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            音楽を愛する

 音楽ライター、音楽評論家を名乗る者として、こんなことを言って良いのか
どうか分からないが、音楽に対して、絶対的な評価など不可能だ。そこには、
主観も入れば、好みも影響する。それでも、なぜ僕等はそれを仕事にしている
のか? それは、ミュージシャン、アーティスト、エンタテイナー達の良い所
を見つけ紹介すること、ときには直した方が良い所、今後の期待感を付加し、
シーン全体の向上に役立つことを願っているからだ。

一部の音楽ライターさんには、ほとんど好みや売れるかどうかを基準にボロク
ソにけなす人もいれば、本当にちゃんと聴いているのかと思うほど(あるいは
金だけで動いているのか)褒めちぎる人もいる。とりあえず、こういうライタ
ーさんは粗悪と判断し無視すれば良い。

そうでないライターさんでも褒めすぎじゃない?評価し過ぎじゃない?と思う
場合が皆さんには多々あると思う。しかし、良く考えて頂きたい。我々は、仕
事として受けた以上、お預かりしたCDを何度も何度も繰り返し聴き、資料は
穴が空くほど目を通す。1日〜2日はそのアルバムや関連アルバムしか聴かな
い場合もある。音楽は不思議なもので何度も繰り返して聴くと好きになるもの
だ。皆さんのCDの棚に、一度しか聴いていないアルバムってあるのではない
だろうか?その中には、たしかに流行追いかけの商業主義的な環境で作られた
ものもあるだろう。しかし、音楽制作者は、そうした限りある条件の中でも、
良い作品を作り上げたいと願っているはずだ。少なくとも、10回はアルバム
を通して聴いてみて欲しい。きっと、つまらないと思っていたCDのいくつか
は、「えっ?」と思える発見があるはずだ。「なんだ、このアルバム良いじゃ
ないか・・」と再評価できそうな盤もきっとあるはずだ。

僕の世代は、20代を終えるまではレコードに親しんだ世代だ。あの大きさと
ジャケットにも愛着があるが、なにより、A面、B面とひっくり返して聴くこ
とも面倒とは思わず、曲の頭から順に聴いたものだ。BGMではなく、音楽を
聴くためにコンポの前に座り、じっくりと聴くのがレコードだった。気にいっ
たレコードはLP、EP問わず、何度も何度も聴いた。だから、音楽が自分の
生き方や思考にまで影響を与えてくれるほどだった。自分が気に入った盤は、
宝物同様だった。若い皆さんには、お持ちのCDの中に愛聴盤とか、自分にと
っての名盤とかあるだろうか?高い金を出して購入した以上、ひとつひとつの
音楽を大切に聴いてあげて欲しい。

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  野田誠司 ホームページ http://rockjazz.com/noda/