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 ◆プロ・ライター、また多方面で活躍されている野田誠司氏のコーナー◆
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『Material』尾形聡子 JOIA-0001 \3,000

お茶の水アイリーンホールにおいて、僕の関わりで、声優、アイドル系の持ち
込みイベントが定期的にある。その出演者さんのひとりが尾形聡子。声の仕事
がメインだが、音大声楽科出身で腹式発声と普通の発声の使い分けができ、ア
イドル系で片付けてしまってはもったいないシンガーだ。事務所の社長さんが
もともとバンドをやっていた方のようで、事務所のスタジオ機材にVintageKey
なんてものもあるらしい。アナログ・シンセやメロトロンの類の音源が入って
いる代物だ。アイリーンホールでのライヴやそうした情報もあって、なんとな
く予想はしていたのだが、頂いた出来たてホヤホヤのこのCD、思った通りだ
った。もともとアニメやゲーム・ミュージックというと、プログレっぽい展開
の曲が多々あり、曲調もシンフォ系が圧倒的に多い。それに劇伴(ドラマなど
の背景に流れる音楽)風な曲も多く、ドラマチックなイマジネーションを膨ら
ませてくれる。例えば、ロック・キーボード奏者として数々のセッションをこ
なしている難波弘之は、不屈の傑作RPG「イース」のイメージ・アルバムを
過去に制作した。また、故:寺山修司主催の劇団「天井桟敷」出身のJ.A.シー
ザーは、TVアニメ「少女革命ウテナ」の音楽を担当し、そのサウンド・トラ
ック盤をまったくと言ってよいほどプログレ・アルバムに仕上げてしまった。
そうしたシーンに呼応するかのように、本作『Material』は、見事なコンセプ
ト・アルバムとなっている。尾形聡子の腹式発声のヴォイスは、最初の曲と中
盤の曲のコーラスのみで、他は普通の発声で歌っているが、下地がちゃんとで
きているため、安定した歌唱と、空に突き抜けていくようなヴォイスが心地よ
い。昇りつめっぱなしのシンフォンニックな歌ものが好きな方は、ぜひ、どう
ぞ。初期のテルズ・シンフォニア(80年代にメジャーで売れた元祖ビジュア
ル系バンド「ノヴェラ」のギタリスト/平山照次が結成したプログレッシヴ・
ロック・バンド)の『ノイの城』のようなファンタジックな作品辺りが好きな
人、ハマルかもしれません。

     野田誠司 ホームページ http://rockjazz.com/noda/ 
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