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 ◆プロ・ライター、また多方面で活躍されている野田誠司氏のコーナー◆
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  ◆アーティスト・レヴュー「相馬裕子」◆

アイルランドのアイリッシュ然(トラッド・シンガーに限らず)とした、アー
ティストが日本で評価されるには、どのアーティストも時間がかかっている。
エンヤにしても、もともと姉のバンド:クラナドに参加したのがスタートで、
後にソロになり、制作に長時間かけたあの名作セカンド・アルバム『ウォータ
ーマーク』が日本でもヒットしたが、FMでのヘヴィー・ローテーションがキ
ッカケだった。エンヤのこのアルバムのヒットで、U2やヴァン・モリソンの
ようなワールド・ワイドなアーティスト以外にも、アイルランドのアーティス
トが注目されるようになった。アイルランドの国民的歌手クリス・デ・バーの
アルバムもリリースされ、来日したのが1990年前後だったと思う。様々なロッ
ク・アーティストとの交友からその知名度が広がっていった、ザ・チーフタン
ズなどもチーフタンズ自体にファンが付くには時間がかかった。コアなファン
が増えつつ90年代に入り、徐々に日本国内でもアイルランド・イベントが毎
年行われるほどになっていったのだと思う。日本でのそうした緩やかなブーム
の中で注目されたアイルランド・アーティストの中に、アイルランドではすで
に有名な歌手メアリー・ブラックがいた。そして、1991年、このメアリー・ブ
ラックのレコーディング・メンバーとダブリンで数曲セッションし、ファース
ト・アルバム『Wind Songs』を仕上げ、デビューしたのが相馬裕子だ。続けて
翌年には、同様ダブリン録音を加えた『空と海の出逢う場所』をリリースする。
以降4thアルバムまでをソニー・ミュージックよりリリース。アコースティッ
クかつ、アイリッシュ・テイストの曲も加えつつ、持ち味の澄んだ透明感のあ
るヴォーカルで魅了する。キティMME 移籍後は、ポップさを増したアルバムを
制作。そして2001年6月、久々にミニ・アルバム『de light』を自身のレーベ
ル「WOOD」よりリリース。澄んだヴォイスとアコースティックはそのままに、
デビューから10年、成熟した相馬裕子の歌が聴ける。今年2004年、新譜の制
作にとりかかるそうだ。

残念ながら、ソニー時代のアルバムはベスト盤の『Recollections』以外は、
廃盤のようです。が、中古盤で見つけたときは、ぜひ。
ダブリン録音のファースト、セカンドは、今聴いても新鮮な瑞々しさが際だっ
ているので興味のある方は、ぜひ。