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 ◆プロ・ライター、また多方面で活躍されている野田誠司氏のコーナー◆
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 『For Your Memories』アコースティック・カフェ
                   フォーライフレコード ¥2,667

アコースティックカフェ(都留教博、中村由利子、前田善彦)として、録音さ
れたカバー集は、これが2枚目とのこと。10月22日に発売されたアルバム。

最初に聴いたとき「あれ?」と思った。様々なCDで慣れてしまったスタジオ
録音のものと音色が違う。なんというか、目の前で演奏してくれているような
楽器の音が心地よく混ざった感じと室内楽的な音空間。クレジットを見たら、
いわゆる一発録りとのこと。

レコーディング技術&機材が発達するに連れて、チャンネル数も豊富になり、
エフェクターも細部まで調整できる分、演奏者は順番に録音していくのがこの
30年数年の間に当たり前のようになり、デジタル化以降のスタジオ・レコー
ディングはアマチュアであっても、そこそこできるほどに便利になった。もち
ろん、こうした一斉に演奏するライヴ・レコーディングに限りなく近い一発録
りも少なからずある。が、これは演奏者の誰かがミスったり、自分の演奏を気
に入らなかったりすれば、全員で録り直しになるという、本当は手間も神経も
数倍使う録音方法だ。しかし、あえてそれを行う理由は、きっと演奏者同士の
緊張感、臨場感、そして調和を求めてのことなのだと思う。

このアルバムはその意図が見事に成功しており、リスナーにとっても聴き親し
んだ楽曲が多い演奏でありながらも、とても斬新で臨場感のある音空間に満ち
ている。僕も多少なりPA操作を日常行っているので、生楽器を一斉に同時に
録音することの難しさは分かる。ミキシング、マスタリングで後から音の調整
ができるにしても、現場の楽器の配置、マイクやラインの取り方が少し変るだ
けで音が大きく変ってしまう。独自のスタジオでレコーディングし、都留さん
自身がミキシング、マスタリングまで行っている。良い意味で凝り性な人達な
のだろうと思う。ともかく、楽器の音色のバランスが非常に良い。あえて、セ
ルフ・カバーも加えているのは、この編成と録音方法へのこだわりがあるから
なのだろう。

日常の風景に身を委ねて、BGMとして聴くも良し、腰を据えてジックリ聴く
も良し。聴き手を選ばない、でもジックリ聴くこともできる。そういう音楽と
演奏がこのアルバムにはぎっしり詰まっている。

 〜収録曲〜
虹の彼方に
 デイ・トリッパー[J・レノン& P・マッカート ニー]
 ヴォーカリーズ[ラフマニノフ]
 イパネマの娘[A・C・ジョビン]
 アンダルーサ[グラナドス]
 アルポーラ[ラカジェ]
 ロング・ロング・ア・ゴー[アコースティック・カフェ セルフ・カバー曲]
 ワルツ・フォー・デビー[ビル・エヴァンス]
 亡き王女のため のパヴァーヌ [ラベル]
 一人のワルツ[都留教博 セルフ・カバー曲]
 シェルブールの雨傘[M・ルグラン]
 ウエストサイドストーリーメドレー [L・バーンスタイン]
 木蓮花[韓国 唱歌]

 以下でご購入できます。
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000CBCBA/rockjazzcom-22

都留教博・中村由利子・アコースティックカフェ オフィシャル・サイト
http://www.ne.jp/asahi/true-project/music/

     野田誠司 ホームページ http://rockjazz.com/noda/