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 ◆プロ・ライター、また多方面で活躍されている野田誠司氏のコーナー◆
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           ■ブルースに塗れろ!I■

先日、「Root of Music」 という番組の再放送を観た。デルタ・ブルースを取
り上げた内容だった。デルタ・ブルースは、米ミシシッピ地方で発生した黒人
ブルースのひとつだ。ブルースは、黒人達の境遇、白人の奴隷として大陸に連
れて来られ、不遇な環境を強いられた歴史を悲しみ、かつそれを引きずった人
種差別による境遇を憂うことから始まり、黒人達の悲しみ、怒りがベースにな
っている。チューニングすら分らない見様見真似で覚えたギターをリズムで刻
み、それに合わせて歌う、というより語るに近い歌唱法が生まれる。切実とし
た歌詞ほど、深く染み渡るブルースになっていく。

エリック・クラプトンがある番組のインタビューで「悲しみを知らなければブ
ルースは歌えない」と言っていた。同じように老齢のデルタ・ブルースマンも
ブルースに隠された悲しみ、辛さを語っていた。後に、奏法やリズム、独特の
唸りのあるヴォーカルがジャンルとして形成されていく中で、ロックやジャズ
にも影響を与え、ブルースの精神をも継承することになっていく。白人のすぐ
れたブルース・ロック・ギタリストには、クラプトンだけでなく、ロリー・ギ
ャラガーやスティーヴ・マリオットといった逸材も生まれた。残念ながらこの
二人は他界してしまったが、凄まじい名演をアルバムに残している。

ここ10年くらいのうちに、コテコテの黒人ブルース・アーティストの来日も
多々あり、すばらしいステージを展開している。その演奏は、格好良くイカシ
タ音楽に捉えられがちだが、その音楽の深くにある、ブルースの精神を汲み取
らなければ、本来のブルースの奥深さは味わえない。ブルースとは、演奏者、
歌い手の生き様であり、人生そのものでもあるはずだ。それは、白人にもきち
んと受け継がれ、すぐれたアルバムを残している。

ブルースは、音楽学校ではコードと歴史くらいしか教えてくれない。ブルース
の心は自分で養っていくしかない。心が育たずにブルース・ギターを弾ける分
けもないし歌えもしない。もっとも「人間」の現れる音楽なのかもしれない。

お薦め:
『アイリッシュ・ツアー』ロリー・ギャラガー DVD ¥2,800
ロリー・ギャラガーの1974年のアイリッシュ・ツアーの記録映画。DVD
での廃価格盤が先月10月にリリースされた。演奏もベストの頃のライヴで映
像としても有名な作品だ。音源としてもリリースされたツアーでロリー・ギャ
ラガーを知るには最良の作品。

『Performance -- Rockin' the Fillmore』ハンブル・パイ
スティーヴ・マリオット、ピーター・フランプトンのギター・バトルが聴ける
フィルモアでのベスト・パフォーマンス。ライヴ名盤としても必聴の作品。も
う長いこと国内盤での再発が滞っているので輸入盤の方が探しやすいが、同じ
フィルモア・ライヴとしては、オールマン・ブラザーズのそれと勝るに劣らな
い名演集だ。

白人女性ブルース・シンガー(ギタリストでもある)にローリー・ブロックと
いう人がいる。日本では全く無名だが、ブルース・シンガーとして数々の賞を
受けている女性だ。次回は、ローリー・ブロックを紹介したい。

     野田誠司 ホームページ http://rockjazz.com/noda/ 

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