━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■野田誠司氏のコラムコーナー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
プロ・ライター、また多方面でいろいろ活躍されている野田誠司氏のコーナー

中村由利子『Melodious Life』エッセイ&フォト本+ベストCD
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 なぜか、クラシックのピアノ曲が騒音に聞こえてしまうという音楽に目覚め
た10代を過ごした僕は、ピアノ曲といえば、せいぜいイエスのリック・ウェ
イクマンのソロ・アルバム『ヘンリー八世と六人の妻』が気に入ったくらいで、
そのまま年月を経て30歳を越してしまった。そんな、三十路になって1年経
った1987年、僕のピアノ曲に対する認識をガラッと変えてしまうアルバム
に出会った。それが、中村由利子のデビュー・アルバム『風の鏡』だった。翌
年には、セカンド・アルバム『時の花束』をリリース、続けてOVAのイメー
ジ・サウンド・トラック『妖精王』をリリースする。僕は、この3作品は、中
村由利子の初期三部作と勝手に決めている。この初期の三作は、遠い昔の情景
を思わせるような深い叙情と、水彩画のように淡く優しいメロディを奏でるピ
アノの音色がとても瑞々しい。今でも、この頃の楽曲をコンサートで弾く中村
由利子の若い頃の叙情性が生み出した、それは、ある時期にしか生み出すこと
ができないような瑞々しさではないかと思う。

 以後、ファンになってメジャーでリリースされた作品は、すべて聴いてきた。
実際は、企画ものやCDROM、共作アルバムなどを含むとその倍以上の作品
をリリースしている。昨年、得意先の方の紹介で中村由利子さんと出会い、仕
事をご一緒させて頂く幸運に恵まれた。僕が関わっているお茶の水のホールで、
クリスマス・コンサートを12月24日に行った。本番の期日までに、3度も
ホールに足を運んで頂き、当日の打ち合わせなど、直接、中村さんとお話をす
る機会も頂き、ファン・モードの緊張した気持ちも解れて、楽しく仕事をご一
緒させて頂いた。80年代の作品と以降の作品とでは、あきらかに違った趣で
変化していった中村さんの作品だが、コンサートの上での演奏は、デビュー当
時の中村由利子の作品も、現在進行形の中村由利子の作品もそれを演奏してい
るときには、時間の止まった中での中村由利子の演奏のようで、どれもが瑞々
しい音色だった。

 何かの縁というのは、さらに展開するもので、うちで運営しているカフェ・
ラ・クロワでこの『Melodious Life』、98年リリースの『イン・コンサート
ピアノ・ファンタジー』、それに中村さんと多くの共作共演を残している都留
教博さんのアルバムも2枚『月をつくった男』(これ都留さんの89年のデビ
ュー盤にして名盤!)『ネシアの旅人』の計4枚を販売させて頂くことにもな
った。そのこともあって、中村さんとメールのやりとりを続けていたのだが、
その中で、「中村由利子はプログレ好き」ということを知ってしまったのだっ
た。そのことをご本人のメールから知ったとき、「あ、そういえば中村さんの
初期のアルバムって、立川直樹氏がプロデュースでライナーも書いていたっけ
・・」ということを思い出し、そのことを振ってみると、立川氏の関わってい
た評論などが、中村さんの心の琴線に多々触れていたらしく、それで立川さん
なら理解してくれると立川氏にデモ・テープを送って、プロデュースに至ると
いう経緯だったそうなのだ。

(注:立川直樹氏 ピンク・フロイドなど当時のプログレッシヴ・ロック関連
のアルバムのライナーや論評多数。音楽だけでなく、映画、総合芸術と多岐に
渡って論評、プロデュースを手がける。僕にとってはライターのお手本のよう
な存在で、彼の文章が大好きで、僕も音楽ライターになった。)

『Melodious Life』は、初期の作品と未発表曲2曲を含めたベスト盤、という
より15周年を記念した特に中村由利子のメロディを凝縮したようなアルバム。
しかもすべてリメイクだ。豪華なブックレットのエッセイと数々の写真からは、
過去のひとつひとつを大切に暖めてきた人にのみ分かる、それは感傷的な回顧
録ではなく、もっと普遍的な郷愁、切なさを秘めたものを醸し出している。

『Melodious Life』フォト&エッセイ・ブックレット+CD \4500(税込)

『イン・コンサート ピアノ・ファンタジー』\3,150
(ライブ・アルバム)トゥループロジェクト PEN1001

都留教博『月をつくった男』トゥループロジェクト TDCD90343 \2,854
     『ネシアの旅人』トゥループロジェクト TRUE1001  \2,800

ご希望の方は、 shop@rockjazz.com へお問い合わせください。

上記に限り送料無料で販売致します。

追記:
中村由利子さんのCDは、最近では、韓国、アメリカでもリリースされ、好評
を得ているそうです。デビュー当時、ウィンダム・ヒル・ブームでヒーリング
・ミュージックやニュー・エイジの枠に括られてしまったのですが、そうした
ジャンルのものとは、あきらかに違った独自の世界を展開しています。

     野田誠司 ホームページ http://rockjazz.com/noda/ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━