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         カルメン・マキ&サラマンドラ
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 まだ、鬼怒無月(G)、勝井祐二(Vln)、芳垣安洋(Dr.)、松永孝義(B)、
という編成にバンド名すらついていなかった頃、マキさん本人から僕の自宅に
私用でFAXが届いた。それには「このメンバーは、これからどうなっていく
のだろう、と本当に合わせるのに苦労した。でも、今ではすごくうまくいって
いるメンバー・・・」といったことが書いてあった。このメンツはセッション
であちらこちらから引っ張りだこなので、バンドとしての維持は大変だろうか
ら、ましてCD制作は絶対にないと僕は思っていた。それがまさかと思ってい
たレコーディング、そしてこの7月16日(水)の発売。CDショップに行っ
て買おうと思っていた当日、サンプル盤が届いた。昨年の8月にご招待を受け
て吉祥寺スター・パインズ・カフェにライヴを観に行ったときはまだ、このバ
ンド名はついてなかったと思うが、その時のライヴは凄かった。
鬼怒無月(G)、勝井祐二(Vln) のふたりは、ボンデージ・フルーツのメンバ
ーとして、日本のプログレ・ファンには名の知れた人物なので、本誌の読者さ
んでご存じの方も多いと思う。まだ、ライヴを観る前に、このふたりがマキさ
んのバックになったことを知ったとき、マキさんのヴォーカルが負けやしない
かと心配もした。が、その昨年のライヴで初めて音を聴いたとき、オズ時代の
カルメン・マキよりも説得力とパワーのあるヴォーカルに驚いたのだった。何
年か前に仕事でマキさんにインタビューしたとき、「オズ時代は、少しでもジ
ャニス・ジョプリンに近づきたくてアルコールでわざと声を潰していた。でも
今は、あの頃のような乱暴な飲み方はしていないので、若い頃より声がでるよ
うになった・・・」といったことを語ってくれた。たしかにそうだったが、こ
のメンバーでのライヴでは、その声のノビの良さに加えて説得力とカリスマ性
が増していた。

そしてこの本作CD『カルメン・マキ&サラマンドラ』のリリースだ。きっと
ライヴの音の再現に違いない・・と思いつつコンポに入れて聴いてみた。気持
ちよく裏切られた。ライヴのときと違い、余計な音をギリギリまでそぎ落とし
て鋭角さが増している。その分、ヴォーカルと歌詞が伝わり、楽器のひとつひ
とつの音がライヴで聴いたときよりも鋭く耳に突き刺さる。ありきたりのハー
ド・ロックでもなければ、アコースティックでもない、サラマンドラの音にな
っているのがすごい。本当は、先日の発売記念のライヴに行って、そのレポー
トと一緒に書きたかったのだが(今回も招待状を頂いたものの、翌日のうちの
ホールのライヴの準備で行けなくなってしまった)、レコーディングについて
は、カルメン・マキ・オフィシャル・サイトに書いてあったのでその記述によ
りたい。ヴォーカルとバンドと同時に録り、しかもたった3日間で録ったとあ
る。それが逆に演奏を先鋭なものにしているのかもしれない。ライヴ的な録り
方をしたものの、いわゆるライヴ会場とは違った緊張感とバンド自体の時間の
経過が、昨年聴いた音と違っている結果なのかもしれない。56分=わずか6
曲という長さは、録音でのノリの結果なのだろう。すぐれたアルバムとは、作
ろうとしてできるものではなく、作っているうちにできてしまうものだと思う。
このアルバムはまさにそれだ。

『CARMEN MAKI and SALAMANDRE』2500円(税込)スリーディー・システム
以下で購入できます。
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野田誠司 ホームページ http://rockjazz.com/noda/